キャリア教育の一環として、東山小学校で6年生を対象にお話させていただきました。子供向けに仕事の話しをしてほしいという依頼を受けて何を話そうか悩みました。こういった機会が子供の一生に多少なりとも影響するかもしれないと考えれば、責任重大です。
子供のなりたい職業ランキングとして、スポーツ選手、パティシエ、最近だとユーチューバーなんかが人気です。理由は簡単で、仕事の内容がわかりやすく(目にする機会が多く)、派手で稼げそうだから。でも子供の頃に憧れた職業につける人はごく僅かでしょう。ではあこがれの職業につけなかった人生は失敗なのか?良い高校、良い大学、良い会社に行くことだけが正しいのか?そうではないでしょう。どんな職業だって、やりがいはあるし、喜びはある。派手な仕事じゃなくても、正社員じゃなくても、有名な会社じゃなくても、誇りを持って、誰かのために働き、その結果として感謝されること・・・これに勝る喜びはありません。そのことを伝えたいと思いました。
頭に浮かんだのが昨年の胆振東部地震です。あのとき、平岸で何が起こっていたのか?地震直後から学校の先生、町内会関係者が自発的に学校に集まり、避難所の運営にあたりました。信号の消えた交差点では、警察官が電気が復旧するまで交通整理にあたっていました。ドラッグストアでは停電の中、子供を背負いながらレジを打つお母さんがいました。区役所、まちづくりセンター、HTB、FMアップル、商店街、病院、コンビニ・・・みんな被災者でありながら、自分のできることを通じて地域を守ろうと行動していました。そうした人々に焦点をあて、地域が必要とする情報を伝えたのが道新りんご新聞でした。またそれを届けたのが、新聞配達員でした。「自分がやらなければ」という圧倒的当事者意識。使命感。これが「何のために仕事をするのか?」という答えだと思います。
「みなさんのお父さんもお母さんもお金を稼ぐためだけに、仕事をしているわけではないんだよ。人に喜んでもらいたい、少しでも社会を良くしたい、何のために、誰のために仕事をするのか?それが大切だよ」と話して締めくくりました。
授業が終わり、男の子が私に近づいてこう言いました。「新聞作るのって、素敵な仕事だね」