定山渓鉄道の開通100周年を記念して出版された『定山渓鉄道』。発刊から2週間足らずで在庫がなくなり、重版が決まったようです。
このブログでは定山渓鉄道廃止の原因のひとつとなった平岸で起きたある事故を取り上げます。
開業当初は田園や果樹園地帯を走っていた定山渓鉄道ですが、昭和30年代からはじまった宅地開発や自動車の普及により、踏切の数も飛躍的に増加しました。
「昭和40年代では踏切は最高66か所を数え、そのうち55か所は無人でなかには警報機も遮断機もなく見通しの悪い個所も多数含まれていました」(定山渓鉄道より)
踏切の増加に伴って踏切事故も増加していきます。中でも昭和37年11月25日に起きた事故は死傷6名に及ぶ最悪のものでした。事故現場は、平岸4条15丁目の踏切。現在の地下鉄南平岸駅より200mほど南側に位置します。
この事故を目撃した人の証言では「地震かと思うくらい家が揺れた感じだった。驚いて飛び出したが、不負傷者が投げ出されたままのたうちまわっており、手をつけかねたほどだった」とコメントしています(昭和37年11月25日北海道新聞より)。
こうした事故がきっかけとなって、昭和42年北海道警察から異例ともいえる勧告が定山渓鉄道に下されます。
昭和47年に開催が決定した札幌オリンピックでの交通マヒを避けるため、軌道廃止を早期実現せよという厳しいものでした。
この行き過ぎともいえる勧告が出された背景については「定山渓鉄道」の方で詳しく述べられています。
この勧告がきっかけとなり、定山渓鉄道は廃止。平岸―真駒内間は地下鉄南北線の用地として札幌市に買い取られることになりました。
「定山渓鉄道」では、昭和30~40年代の懐かしい沿線風景や、駅舎や車両、失われつつある廃線跡など貴重な写真を1200枚以上収録しています。
当時の町並み、人々の暮らしの様子など、懐かしい札幌がよみがえります。駅舎や車両の竣工図など、鉄道ファン必見の図版も多数掲載した保存版です。
お申込みは、最寄りの道新販売所から。料金は3,024円(税込み)。お申込みから1週間程度で代金引換にてお届けできます。