東日本大震災が起こった年、それは私が新聞販売業界に入って1年目の年でした。自分が地球科学の博士号を持ち、専門的な知識を持ちながらただ傍観することしかできなかったという悔恨。新規の読者獲得にばかり目を向ける旧態依然とした新聞販売業に対する怒り。
そんな気持ちががないまぜとなって、本格的な地域新聞を作り、人と人を結びつける地域の触媒になろうと決意しました。
一方、ソフトバンクの社長室に勤め、孫正義社長から「これからの復興のために個人で100億円寄付するから使い道を考えろ」と言われ、復興支援に駆け回った男がいました。札幌新陽高等学校校長の荒井優さんです。
復興支援に携わるうち、「本当の復興とは次の世代を担う子供達を育てること」に気づいたという荒井さん。東日本大震災をきっかけに地域づくりに取り組んでいるのが道新りんご新聞とするならば、人づくりに取り組んでいるのが荒井さんといえるかもしれません。
道新りんご新聞7月1日号の平岸人図鑑は札幌新陽高等学校校長の荒井優さんです。「人生観が変わった」という東日本大震災にどう関わり、教育界で何を目指そうとしているのか伺いました。
取材中、気がついたら進路相談に来た中学生親子、東京の大学の入試の担当者、校長の右腕など様々な人が話し合うという状況が生まれていました。私も部外者ながら荒井校長の熱意に巻き込まれ、知らず知らずのうちに輪に加わっていました。本気の思いは人に通じるし、社会を変えることができる・・・そんな光景を目の当たりにしました。
平岸人図鑑ではこれまで平岸界隈で活躍する様々な人を紹介してきました。仕事柄様々な人に出会います。研究者、教育者、経営者、社会的地位の高い人などなど。しかし、「本気で」仕事に向き合っている人は意外と少ないとも感じています。
本気のふりをしている人はたくさんいます。でも平岸人図鑑では「本気で」仕事に向き合っている人を紹介したいと思っています。日本とロシアの架け橋として「百万本のバラ」を日本に持ち込んだ兵頭ニーナさん。ブラタモリ案内人として、地域の歴史や魅力を広めている古沢仁さん。コンサドーレ札幌で東京オリンピックを目指している濱大耀選手。平岸りんごの最後の語り部であり、平岸天神を作った男・中井昭一さん。そして今回の荒井優さん。
彼らに共通するのは本気で挑戦していることです。道新りんご新聞はこれからも、地域で本気で挑戦する人を応援し、紹介していきたいと思います。
※道新りんご新聞は毎月1日と15日の平岸地域の北海道新聞に折り込んでいます。道新の1週間無料お試しキャンペーン実施中!