青森りんご硬いと苦情 食育活動へ・・・80年前に平岸でもやっていた

「青森のリンゴは硬い」。青森県内のリンゴ関係者に、こんな苦情が届くことがあるそうです。リンゴが硬いのは新鮮な証しですが、誤解の多いリンゴへの理解を深めてもらおうと、県や関係団体はリンゴのおいしさや食べ方、健康機能性などを伝える食育活動に力を入れています(Yahooニュース 河北新報)。

 北九州市の小学校で開かれた青森県知事によるアップルスクール(Yahooニュース 河北新報)
北九州市の小学校で開かれた青森県知事によるアップルスクール(Yahooニュース 河北新報)

平岸では、昭和10年に下本村農事実行組合が「平岸りんごの栞」という今の食育活動のはしりとなるパンフレットを作成しています。

平岸りんごの栞表紙(札幌市公文書館蔵)
平岸りんごの栞表紙(札幌市公文書館蔵)

中をめくると、「お召し下さい 平岸りんご 味も香りも日本一」とのタイトルが中央に置かれ、左右にりんごの効能が箇条書されています。今のトクホのような感じですね。

りんご園の観光案内用の地図も。平岸霊園(昭和16年開設)はまだありませんが、静療院は「平岸りんごの栞」発行の前年の昭和9年に開院し、今に至っています。

昭和36年9月16日北海道新聞朝刊より
昭和36年9月16日北海道新聞朝刊より

冒頭のりんごの硬さの苦情の件ですが、青森産よりずっと硬いのが平岸りんごの特徴でした。

 

弘前大学理学部名誉教授・齋藤健一先生によれば、平岸りんごの硬さは食感として青森産より劣る原因になっていましたが、貯蔵性の良さでははるかに上回り、「翌年の札幌まつり(6月中旬)ぐらいまではもった」ということなので、冷蔵設備のない時代には優位性を発揮していました。

 

しかし、冷蔵庫が普及するとただ硬いだけのりんごとなり、青森産に押し負け消えていったのです。

 

なぜ平岸はりんごの産地となったのか?キーワードは”平岸の地質と気質”

文字入りりんごは世相を写す 戦前に書かれていた文字は?