文字入りりんごは世相を写す 戦前に書かれていた文字は?

昨日、豊平区職員や地域住民が札幌ドームを訪れ、環状通並木のりんご約80個を栗山監督に贈りました。

 

りんごが赤く色づく前にシールで覆い、ロゴの「F」や栗山監督の背番号「80」などの文字が浮かんでいます(9月16日北海道新聞朝刊37面こだま欄より)。

 

さて、この文字入りりんごの歴史は戦前までさかのぼり、その貴重な写真が平岸のりんご園で撮影されています。

9月16日北海道新聞朝刊37面より
9月16日北海道新聞朝刊37面より

廣田果樹園の文字入りりんご(株式会社平岸会館50周年記念誌より)
廣田果樹園の文字入りりんご(株式会社平岸会館50周年記念誌より)

その写真がこちら。昭和11年、平岸の廣田果樹園で撮られたものです。

 

りんごの表面をよく見ると「大演習」、「奉迎」などと炭で塗られています。

 

昭和11年、北海道で陸軍特別大演習が行われ、北大農学部に大本営が設置され、昭和天皇の行在所となりました。

 

翌年日中戦争が勃発したため、これが最後の特別大演習となります。

 

80年前は、弘前の第八師団と旭川の第七師団が演習で戦い、現在は福岡と札幌の野球チームが戦っています。

 

栗山監督はりんごを手に、「優勝という果実ももぎ取るぞ」と語りましたが、時代は違えど、りんごは戦う戦士たちを勇気づける格好の贈り物なのかもしれません。

 

なお、この写真は平岸在住のりんご研究者で弘前大学の名誉教授である斉藤健一先生が書かれた株式会社平岸会館50周年記念誌から引用させていただきました。文字入りりんごでこれより古い写真は存在しないのではないでしょうか。

 

斉藤先生は、来月天神山で行われる公開座談会「なぜ平岸はりんごの産地となったのか?キーワードは“石と水”」に講師としてお招きしています。今回の写真はその資料作りの最中に見つけました。まだまだ未完成ですが、面白いイベントになりそうです。

 

イベントについて興味のある方は、「平岸の歴史を訪ねて in 天神山文化祭」のページをご覧ください。