トンネルを掘るウニのお話し

ムカシブンブク(Linthia nipponica)
ムカシブンブク(Linthia nipponica)

J:COM札幌のコミュニティーチャンネルで放送中の「札幌人図鑑.TV」に、31日の10時半、18時半と翌1日の7時半から道新りんご新聞編集長の伴野が出演いたします(札幌人図鑑のホームページには9月7日にアップされます)。

 

さて、先日行われた収録の際、時間の都合でカットしたこぼれ話を紹介します。

 

私は学生時代、ウニの化石の研究をしていました。その写真がこちら

一般的に、ウニといえばイガグリ状のトゲトゲのイメージがあるかもしれませんが、世界に800種以上いるウニには、イガグリ形だけでなく普通の人が見たらウニとは気づかないような奇抜なデザインのウニがたくさんいます。

スカシカシパン(aquamuseum.netより)
スカシカシパン(aquamuseum.netより)

例えば、カシパンウニ。

 

厚さ1センチ程度の平べったいウニで、浅瀬の砂浜などに生息しています。

 

波が来ても、流されたり、ひっくり返ったりしないように平らな形に進化しました。

オカメブンブクが潜っている断面(Echinoid directoryより)
オカメブンブクが潜っている断面(Echinoid directoryより)

私が研究していたのはブンブクウニ。

 

体毛のような細くて短いトゲがびっしり生えた変わった形をしています。

 

体の前に生えたトゲを使ってトンネルを掘り、背中のトゲでトンネルを支え、お腹のトゲで前に進みます。

 

ウニの歴史は4億5千万年前にさかのぼります。トゲで身を守るウニには長らく天敵はいませんでした。

 

しかし、1億年前、トゲをくわえて岩にぶつけたり、ひっくり返してお腹を食べる魚などが現れると、それまでのトゲによる防御は通用しなくなりました。

 

トゲから毒が出るようにしたり、昼間は硬い岩の中に身を潜めるなど様々な行動を取るウニが出現します。

 

そんな中、トゲは身を守る者という固定観念を捨て、トゲを使ってトンネルを掘り、砂の中に潜る生活に適応したのがブンブクウニです。

 

この戦術は大成功を収め、ブンブクウニは世界中で繁栄しています。

 

・・・という話は面白いのですが、本筋と関係ないのと他にも話したいことがいっぱいあったので、収録では割愛しました。

 

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