札幌の直下型地震過去100年で34回発生、液状化現象も

札幌市内の遺跡発掘現場で見つかった液状化現象の痕跡(札幌市地域防災計画より)
札幌市内の遺跡発掘現場で見つかった液状化現象の痕跡(札幌市地域防災計画より)

「地震の少ないマチ」とされている札幌ですが、実は過去に頻繁に直下型地震の被害にあっています。

 

札幌市教育委員会などの調査によれば、過去2000年で少なくとも3回、液状化現象を伴う強い地震(おそらく震度5以上)があったことがわかっています。

 

このうち唯一記録が残っているのが、1834年2月9日に発生した石狩川河口付近を震源としたとされる地震です。

 

北海道大学地球物理学研究報告「札幌市とその周辺の歴史地震と最近の地震活動」(笠原 稔・宮崎克宣)に記載されている松前藩の記録によれば、

 

『私領分西蝦夷地のイシカリと申場所,月期日巳の刻過より地震強,二月廿二日迄日々地震にて,地割泥吹出,制札場其外破損の覚・・・』とあります。

この地割泥吹出が液状化現象を意味すると考えられています。

この報告書によれば、

 

一、制札場破損 ーケ所

一、芽藁蔵潰 六軒

一、会所潰 二軒

一、蝦夷家潰 廿三軒

一、弁天社大破 弐軒

一、同半潰 三軒

一、板蔵潰 四軒

一、蝦夷人物置 十三軒

一、同半潰 廿三軒

一、魚蔵潰 六軒

右之通御座候。人馬怪我等無御座候。此段御届申上候。以上

 

とあり、人馬の怪我は無かったようですが、人口の少なかったこの時代でも、蝦夷家潰廿三軒(アイヌ人の家が23軒潰れた)とあるように、建物に大きな被害が出ているのがわかります。

 

昭和2年に札幌で起きた地震の様子を伝える北海タイムス
昭和2年に札幌で起きた地震の様子を伝える北海タイムス

また、同研究報告によれば、1900年以降の札幌市直下を震源とする直下型地震は1996年までに34回発生したことがわかっています。

 

2010年には清田区を震源とする直下型地震が発生し、北広島インターチェンジ付近で震度5弱の揺れを観測しています(2010年に清田区で発生した直下型地震を振り返る~札幌人が知っておくべき3つの地震リスク)。

 

いつ地震が来ても良いように、万全の備えをしておきましょう。

 

関連記事→地震予知の難しさと基礎研究の重要性①拙速な結果を求める風潮に物申す札幌周辺に3つの活断層~平岸で震度7の可能性も直下型地震札幌圏も危険性地震への備えについて(緊急地震速報編)地震への備え(直下型地震編)

 

FMアップルで放送した防災特番「札幌でも震度7の直下型地震は起こりうる」公開しました。こちらのページからお聴きください。

 

参照→北海道大学地球物理学研究報告「札幌市とその周辺の歴史地震と最近の地震活動」(笠原 稔・宮崎克宣, 1998)